研究概要 |
平成6年度報告で述べたように、低濃度抗癌剤(CDDPあるいはCBDCAと5FU)と試験管内誘導キラー細胞を2ク-ル癌栄養動脈を介して注入し、続いて40Gy放射線照射を行うというプロトコールで観察した原発癌縮小効果は約50%のCRrateであり、高い効果が得られたと判断した。特に上顎癌に対する効果が高く、平成7年度は上顎癌に焦点を合わせて本プロトコールによる治療を行った。本治療を施行でき、効果が判定できた上顎癌症例数は20例に達した。扁平上皮癌19例、未分化癌1例で、T2:2例、T3:7例、T4:11例であった。低濃度抗癌剤とキラー細胞動注2ク-ル終了直後の評価ではCR:0,PR:13,NC:7例,PRrate 65%であった。放射線照射約40Gy後の評価ではCR:12,PR:8、CRrate 60%,CR+PRrate:100%という高い効果を得た。これら上顎癌症例20例中19例に本プロトコールによる治療効果に応じた手術を施行し、組織学的にも上記CRを確認し得た。さらに特記すべきは治療前眼窩内浸潤があり、手術を第一選択とすれば、眼球摘出が適応であった11例の内、10例が摘出を免れ、QOL向上という効果もみられた。次年度は症例の追加と、生存率の解析、QOLの解析を行って、研究成果のまとめを行いたい。
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