角膜移植術後の細胞接着分子の役割を明らかにするため、マウス異系同所性角膜移植モデルを用い、主要な接着分子であるLFA-1(Leukocyte function-associated antigen-1)、VLA-4(Very late antigen-4)およびVCAM-1(Vascular cellular adhesion molecule-1)に対するモノクローナル抗体を投与することにより拒絶反応の抑制効果を検討した。実験対象としてレシピエントをBALB/c(H-2^d)マウス、ドナーをC3H/He(H-2^k)マウスとし、直径2mmの移植片を11-0ナイロン糸で端々縫合した。各モノクローナル抗体は手術2日前、手術日、手術後1、3、5、7日目に腹腔内投与した。各マウスを抗体投与法により、(1)コントロール群(抗体非投与群)、(2)抗VLA-4単独投与群(0.5mg)、(3)抗LFA-1単独投与群(0.5mg)、(4)抗VLA-4/抗LFA-1抗体併用群(各0.25mg)に分けた。手術後4週までの移植片の透明生着率は(1)群0%、(2)群0%、(3)群100%、(4)群100%であった。抗VLA-4抗体、抗LFA-1抗体ともに単独でも拒絶反応抑制効果をもち、両者の併用によりさらに強い免疫抑制効果が得られた。 同種異系角膜移植拒絶反応の発現にはLFA-1、VLA-4などの細胞接着分子が重要な働きをなしていることが明らかとなった。
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