研究課題/領域番号 |
06454497
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
大橋 裕一 愛媛大学, 医学部, 教授 (00116005)
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研究分担者 |
半田 宏 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (80107432)
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キーワード | 角膜上皮 / SV 40-アデノウイルスベクター / 不死化細胞 / サイトケラチン / アルデヒドデヒドロゲナーゼ / 細胞培養 |
研究概要 |
申請した研究計画の内、ヒト角膜上皮の不死化については、まず上顎癌浸潤のために眼窩内容除去術を行い、摘出した眼球より角膜上皮を得て初代培養を行った。その後、SV-40のLargeT抗原を組み込んだアデノウイルスベクターを感染させて、数回のクローニング後に不死化細胞を得た。不死化細胞は組織学的に角膜上皮細胞の形態を保っており、細胞間のデスモゾームや繊毛構造を示していた。分化した角膜上皮に特徴的な64KDのサイトケラチンに対する抗体(AE-5)を用いて免疫組織学的検討を行ったところ細胞質内に陽性線維がみられた。さらに培養角膜上皮細胞から抽出した蛋白質の電気泳動を行ったところ64KDのケラチンを検出した。角膜上皮細胞の主要可溶性蛋白質であるアルデヒドデヒドロゲナーゼの酵素活性も有しており、不死化細胞はヒト角膜上皮細胞として機能していることが明らかとなった。以上の結果より、ヒト角膜上皮細胞の不死化に成功したので、この細胞培養系を用いて、ヒト角膜上皮の遺伝子ライブラリーを作成すべく実験を進めている。 ラット角膜上皮についても、同様にSV 40アデノウイルスリコンビナントベクターを用いて不死化を試みたところ、400世代以上の増殖力を持続することが可能であった。ヒト角膜上皮不死化細胞と同様、ラット角膜上皮の不死化細胞でも64KDのサイトケラチンの発現と微細構造を有しており、上皮細胞としての形質を保持しつつ継代培養が可能であった。本細胞が上皮組織としての形質を高度に保ちながら不死化している点より角膜上皮細胞の分化や増殖を遺伝子レベルで解析する上で、有用と考えられた。 家兎角膜上皮細胞の遺伝子ライブラリー作成は、不死化家兎角膜上皮細胞が継代培養において増殖能が低いので培養液に添加する成長因子などの検討を行い、細胞の大量培養を可能にする予定である。
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