研究概要 |
落屑症候群および落屑緑内障について臨床的および病理学的研究を行iい、下記の点を明らかにして報告した。 1. 落屑緑内障の病因に関する臨床的研究 1)落屑症候群の程度がより著しい眼とより軽い眼でフレア値に差があるか否かを検討した。落屑症候群の程度の著しい方の眼がそうでない他眼よりも有意にフレア値が高かった。 2. 落屑緑内障の病因に関する病理学的研究 1)虹彩の血管を病理学的に検討した。虹彩血管の周囲に落屑物質が沈着し、血管内皮細胞が著しく変性していた。虹彩血管内皮細胞の変性による房水蛋白濃度増加も眼内圧上昇に関係する。 2)緑内障をまだ発症していない落屑症候群の摘出眼球を用いて,前房隅角線維柱帯における色素沈着の病態を検討した。色素顆粒を貧食した線維柱細胞が変性し、線維柱層板が肥厚していた。このことから、落屑緑内障は一種の色素性緑内障で、線維柱細胞の変性または消失で線維柱層板が肥厚して房水流出抵抗が増大することが分かった。 3)落屑物質の組織化学的検討を行った。前眼部の落屑物質は主としてチン小帯を構成するマイクロフィブリルの変性によって生じ、プロテオグリカンを含んでいた。 3. 落屑症候群患者の疾患感受性に関する臨床的研究 1)落屑症候群患者の組織適合抗原(HLA)を調べた。落屑症候群患者のHLAはDR4およびDQ4をもつ割合が対照健常人に比較して有意に少なかった。また、健常人に比較してDRB1*0405、DQA1*03を保有する者が少ない傾向があった。
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