研究課題/領域番号 |
06454503
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 富 東北大学, 医学部, 助教授 (40125638)
|
研究分担者 |
増田 高行 東北大学, 医療技術短期大学, 教授 (00113910)
戸恒 和人 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10217515)
村上 治 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (00157744)
大井 龍司 東北大学, 医学部, 教授 (50004734)
|
キーワード | 神経芽細胞腫 / 血漿NPY濃度 / 尿中NPY濃度 / 組織内NPY濃度 / 免疫組織化学染色 |
研究概要 |
これまで神経芽細胞腫(本症)患児の血漿NPY濃度について測定しNPYが本症の診断と予後判定に有効である事を報告した。今回さらに測定法を改革し腫瘍組織内NPY濃度、尿中NPY濃度を測定するとともに免疫組織化学染色によりNPYの染色を行い各種因子との比較検討を行ったのでこれまでの実績について報告する。 1)NPYの発現に関する免疫組織化学的検討:神経芽腫32例の組織標本について検討した。高分化系の腫瘍細胞が染色され低分化系腫瘍細胞は染色性が低かった。組織分類との比較では神経節腫は1例のみで陽性(+)、神経節芽腫5例のうち(+)1例、(++)1例、(+++)3例であった。神経芽腫26例のうち花冠細線維型13例では(-)2例、(+)3例、(++)5例、(+++)3例であった。円形細胞型13例では(-)3例、(+)4例、(++)4例、(+++)2例であった。血漿NPY濃度と染色性の検討では、両者に相関は認められなかった。腫瘍組織内NPY濃度と染色性の検討では3例で測定された組織内NPY濃度と染色性には相関傾向がみられ、(+++)組織で高い腫瘍中NPY濃度(6.76μg/g)が認められた。年齢、原発部位、病期、N-myc増幅、予後と染色性には相関が認められなかった。 2)尿中NPY濃度の測定:本症10例について尿中NPY濃度を測定し血漿NPY濃度と比較した。10例の尿中NPY濃度は11.4〜166.92pg/mlで平均値72.6pg/mlであった。血漿NPY濃度との相関関係は8例において認められたが、他の2例では全く逆相関の関係にあり、クロマトグラフィーを用いたNPY分解産物の測定が必要であると考えている。 以上の結果から、予後不良の低分化系腫瘍では組織内で生産されたNPYは容易に血中、尿中に分泌されるものと思われる。
|