研究概要 |
神経芽細胞腫(本症)患児の血漿NPY濃度について測定法を改革し、尿中NPY濃度を測定するとともに免疫組織化学染色によりNPYとKi-67の染色を行い比較検討を行った。対象は85年以後の本症群63例と他疾患群64例の計127例である。 1)本症の血漿NPY濃度は他疾患群に比し有意に高値を示し、本症診断の鋭敏性は86%、特異性は82%であった。本症血漿NPY濃度は年齢とともに増加し4歳以上では10,000pg/ml前後の値を示すが他疾患群は対照的に年齢とともに低下し成人値の150pg/mlに近づく。1歳未満、1歳、2歳〜4歳、4歳以上に分類すると本症群は他疾患群に比し有意に高値を示す。病期IV群22例の血漿NPY濃度はI,II,IVS群30例に比し有意に高値を示したが、病期IV群4歳以上群7例のみが4歳未満までの群に比し高値を示し予後も不良であった。本症ではマス陰性後発症群、病期進行群、LDH高値群、NSE高値群、島田分類UH群、N-myc増幅群などの予後不良群で有意に高い血漿NPY濃度を示した。血漿NPY濃度は血清LDH,Ferritin、NSEとは相関は認めなかった。腫瘍死群は腫瘍(-)長期生存群に比し有意に高値を示した。 2)本症尿中NPY濃度は血漿NPY濃度と軽度の相関が認められたが病期、年齢、原発部位、マススクリーニング発見の有無などとの関係は認められず、他疾患群の尿中NPY濃度との有意差もなく、さらに工夫を要する。 3)神経芽腫37例の組織標本Ki-67染色性は(-)21例、(+)5例、(2+)5例、(3+)6例で、(2+)、(3+)群では瀰慢性と局所性に染色される例があり、NPY陽性領域細胞群とKi-67陽性細胞群と明瞭に分画される群は予後良好で、分画不明瞭は予後不良であった。
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