研究概要 |
胎齢80〜85日の羊胎仔4頭に横隔膜ヘルニアの作成を試み,手技的には問題なかったが,いずれも7母獣が原因で流産あるいは死産の結果となった。従って今年度は集中的に対照群のデータを得るべく、胎齢130〜140日羊胎仔4頭に対し、1)胎盤循環およびECMO併用管理、2)人工羊水内ECMOの管理,3)人工羊水内ECMOおよび肺呼吸併用管理、4)ECMO離脱を行った。 心電図,動脈圧,中心静脈圧を持続モニターし,各相毎に心ドップラーエコーにて循環動態(肺動脈流量,動脈管流量およびシャント方向)を観察し,また適宜,血液ガス、ACT等を測定した。 対照群4例すべてでECMO離脱後、自然呼吸が可能であった。ECMO血流量は80-100ml/kg,ACT180〜250秒が適当であった。人工羊水内管理を約2時間、人工羊水ECMOおよび肺呼吸併用管理を約1時間,肺呼吸管理を約2時間とした。血液ガスでは,ECMO単独の管理になるとガス交換は比較的安定しているのに対し,代謝性アシドーシス(BE-10〜-15)が進行する傾向があり,これは肺呼吸併用とともに改善し,ECMO離脱後は正常化した。脈拍,動脈圧,中心静脈圧は各相とも,各々250〜300/min,30/5mmHG,5〜10cmH_20と安定していた。ドップラーエコーでは,胎盤循環のみ,胎盤循環とECMO,ECMOのみの3相では,いずれも肺動脈流量は少なく、動脈管は右左シャレトであった。一方、肺呼吸が一部でも開始された相では肺動脈流量が増加し,動脈管では右左と左右の2方向性シャントが観察された。
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