研究課題/領域番号 |
06454505
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児外科学
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
加藤 哲夫 秋田大学, 医学部, 教授 (20004963)
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研究分担者 |
吉野 裕顕 秋田大学, 医学部, 助手 (90182807)
蛇口 達造 秋田大学, 医学部, 講師 (00124644)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 先天性横隔膜ヘルニア / 肺低形成 / 胎児手術 / 人工子宮 / ECMO / 羊胎仔 |
研究概要 |
【目的】高度肺低形成を伴う先天性横隔膜ヘルニアは出生後の治療では救命不能であり唯一残された治療法は、胎児期手術と考えられる。しかし、従来の子宮内胎児治療は母体に対する多大の侵襲、手術手技、早流産防止の困難性、胎児の術後管理が不可能なことなど多くの問題を有し、治療成績は芳しいとは言えない。本研究ではこれらの問題の解決できる人工子宮内での治療、保育を最終目的とし、動物実験にてその可能性について検討した。【方法】(1)胎令120〜140日の正常羊胎仔に対し、頸動静脈を介しV-A ECMO施行、臍帯を離断後、胎仔を人工羊水槽へ移し、人工子宮内保育を行い、さらに人工子宮からの離脱を試みた。(2)胎令75〜80日時に子宮開窓法にて胎仔の左胸腔経路で横隔膜の部分切除を行い、横隔膜ヘルニアモデルを作成した、胎令135日に再度子宮を切開し、横隔膜ヘルニアを修復後、人工子宮内保育を行った。胎仔は、心電図、動脈圧、中心静脈圧を連続的にモニターし、血液ガス、ACT値を測定した。またドップラーエコーにて胎児循環動態を評価し、肺、脳の組織学的変化も検討した。【結果】人工羊水槽内での生育時間は9〜24時間で、人工羊水槽内で胎仔は活発な体動を示した。人工子宮内保育中、動脈管の径は減少し両方向性のシャントを示したが、循環動態は安定していた。ECMO血流量は80〜100ml/kg/minでほぼ安定した状態が得られ、胎令135日以上の正常羊胎仔では、人工子宮からの離脱は容易であった。横隔膜ヘルニアモデルの作成、修復は手技的に問題なく、その後、安定した人工子宮内保育が可能であった。組織学的にも肺、脳に出血、血栓などの以上は認めなかった。【まとめ】羊胎仔を用い、人工子宮を用いた先天性横隔膜ヘルニアの治療が可能であった。今後さらに、肺の発育、成熟に関する検討を進めたい。
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