研究概要 |
雌雄の新生仔鎖肛ブタの手術的処置を中心として鎖肛ブタの救命を行っている。これらを飼育、交配、出産を繰り返し家系の維持、継続に努めている。また死産および新生仔を犠牲死させる場合には検体の保存を続けて来た。 平成7年度はわれわれが参画しているヨーロッパのブタ遺伝子解析プロジェクトを足掛かりに方法論を見いだす段階に至ったものと考える。即ちブタのゲノム研究はヒト、マウスなどと比べると大変遅れており、数年前まではほんの僅かしか分かって居なかった。これらは畜産学的、育種学的な問題解決のためのプロジェクトであるが、また疾患の遺伝子同定などに有用なことから現在ではブタの形態的、機能的な遺伝子の同定も盛んに、ヒト、マウスなどとの比較を含めて盛んに行われている。 特にType1マーカーといわれる遺伝子上の位置のみでなく、機能などを良く知られて居るマーカーでgenetic linkage mapを作成する必要がある。このマーカーとなるものはRFLP,SSCP法で検出出来、かつ多型性を保有して居る遺伝子部位であり、microsatellite法でもprotein polymorphismをもつものである。ヨーロッパグループよりPig Mapとして239のマーカーが報告され大きな進歩が示されたわけである。我々としては、本年1C10および1B5の多型性を新たに見いだし有力なマーカーとして加わるものである。SSCP法は特に銀染色を行うことよりRIを使わずに多型を検出出来る点大変簡便に行えている。 鎖肛ブタ家系に関しては、更に多くのマーカーの整おうのを待って有効に大切な材料を検査する機会をうることを期待して、検体の収集、保存につとめかつ十分な準備を整えている。 また遺伝学的に単一になり過ぎたYorkshire家系を梅山豚と交雑する作業を進めている。
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