研究課題/領域番号 |
06454508
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朔 敬 新潟大学, 歯学部, 教授 (40145264)
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研究分担者 |
織田 公光 新潟大学, 歯学部, 教授 (10122681)
木村 信 新潟大学, 歯学部, 助手 (80251825)
程 くん 新潟大学, 歯学部, 助手 (40207460)
福島 祥紘 新潟大学, 歯学部, 助教授 (00018631)
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キーワード | 腺様嚢胞癌 / ACC2 / ACC3 / 基底膜 / 共焦点レーザ顕微鏡 / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / ヘパラナーゼ / コラゲナーゼ |
研究概要 |
本年度はつぎの実験をおこない、培養唾液腺腺様嚢胞癌細胞が自ら基底膜分子を生合成して細胞外に沈着し、かつ自身の分解酵素によってこれを改造していることが判明した。 (1)細胞培養:ヒト腺様嚢胞癌由来株細胞ACC2及びACC3を35mmペトリ皿または24穴マイクロプレート上で単層培養し、^<35>S-硫酸、^<35>S-メチオニン、^3H-ロイシンによる標識を行った。 (2)免疫染色:単層培養細胞は、培養開始後24時間毎に固定し、免疫染色をおこなった。培養細胞は同様に固定後、ショ糖氷晶防止処理後、冷結超薄切片も作製した。切片はI型コラゲンと四種の基底膜分子:IV型コラゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、エンタクチンのウサギ抗体と、ヘパリチナーゼ、ヘパラナーゼ、カテプシンD、コラゲナーゼ(MMP9)のマウス抗体,さらにコロイド金またはロ-ダミン標識二次抗体を用いて染色をおこなった。 (3)共焦点レーザ顕微鏡による観察:前記2)のとおりに作製された標本を共焦点レーザ顕微鏡で、断層影像を三次元再構築し、立体的に細胞内外の分子移動を観察した。細胞内での基底膜分子の生合成開始と同時に細胞質内に酵素の発現がみられ、基底膜分子の細胞外沈着開始後に酵素群も細胞外空間に放出されていることが確認された。 (4)凍結超薄切片法による免疫電顕的観察:前記2)のとおり氷晶防止された試料は、超低温凍結固定し、凍結超ミクロトームで凍結切片を作製し、間接金コロイド法で免疫染色、電子顕微鏡で観察した。ネガティブ染色によって、細胞内小胞に基底膜分子と酵素が局在することが判明した。それぞれの小胞の異同について検討中である。 (5)細胞ならびに培地中基底膜分子分解産物の追跡:免疫染色の標本採取時期に準じて、細胞と培地をそれぞれ採取し、各抗体をもちいて免疫沈降反応によって回収し、電気泳動後フルオログラフィによって可視化した。培地中には、標識後3時間でヘパラン硫酸プロテオグリカンのコア蛋白質に相当する蛋白質と、約300kDaのその分解物と考えられるペプチドが出現した。これは硫酸基を有していなかった。これが分解産物である確証を蛋白質化学的に検索中である。
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