研究課題/領域番号 |
06454509
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
栗栖 浩二郎 大阪大学, 歯学部, 教授 (50028346)
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研究分担者 |
岩本 資己 大阪大学, 歯学部, 講師 (80203644)
田畑 純 大阪大学, 歯学部, 助手 (20243248)
加藤 穣慈 大阪大学, 歯学部, 助手 (90243245)
脇坂 聡 大阪大学, 歯学部, 助教授 (40158598)
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キーワード | 歯胚 / 肝細胞増殖因子 / 器官培養 / マウス / 形態形成 / 発生 / 組織分化 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
肝細胞増殖因子(HGF/SF)は、最初ラットの初代培養肝細胞の増殖促進物質として発見され、分子クローニングがされたが、種々の細胞の増殖促進のみならず細胞運動の促進や、分化誘導または形態形成誘導因子として、種々の器官の分化と形成に中心的な役割を担うサイトカインであると考えられるようになった。われわれは、上皮と間葉の相互作用によって形態形成がおこる歯の発生においてもHGFが関与しているのではないかと考え、歯胚におけるHGFの分布とその遺伝子発現を、さらにHGFの受容体であるc-metの遺伝子発現を検索した。材料は、胎生15日〜生後2日のSD系ラットの下顎を用いた。免疫組織化学的検索は、PLP固定した凍結切片を用いて、1次抗体にはウサギ抗ラットHGF抗体を用い、間接螢光抗体法によって行った。また、一部の試料は、ABC法による増感を行った。HGFおよびc-metの遺伝子発現の検索は、摘出した歯胚よりチオシアン酸グアニジン法によって抽出したmRNAを用いて、RT-PCR法によって行った。HGFの免疫組織化学的検索では、陽性反応は歯乳頭に限局し、歯胚周囲の下顎組織には認められなかった。第1臼歯の歯乳頭での陽性反応は、帽状期の胎生16日から見られるようになり、鐘状期の初期から中期にかけての胎生18日に最も強くなり、以後咬頭部より消退し始め、20日から生後1日にかけて消失した。歯胚のHGF遺伝子の発現の消長は、免疫組織化学的検索結果とほぼ一致して、胎生18日でピークを示した。また、HGFの受容体c-metの歯胚での遺伝子発現も、HGFの発現時期に一致して認められた。HGFは主として間葉細胞で合成・分泌され、上皮細胞に作用して形態形成を誘導すると考えられているが、上記の結果は、歯胚においてもHGFが形態形成に関与していることを強く示唆するものである。
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