研究課題/領域番号 |
06454513
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
名和 橙黄雄 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (50020748)
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研究分担者 |
山本 仁 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (80265165)
藤原 尚樹 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (20190100)
坂倉 康則 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (60128915)
石関 清人 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (50057775)
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キーワード | Tissue culture / Tooth germ / Cartilage / Calcification / Meckel' s cartilage |
研究概要 |
(1)歯胚の器官培養: In vitroで歯根形成の観察可能な培養法を考案して観察を継続することが出来るようになった。その結果、マウス臼歯歯根表面にセメント質様物質の沈着が認められ、この気質の周囲にセメント芽細胞様細胞の分化がみられた。この基質を免疫組織科学的方法で染色するとType I collagenに陽性であるがTypeIII collagenには陰性であることが確かめられた。また、X線微小分析ではこの基質にCaとP の存在が明確で、その分布様式はin vivo有細胞セメント質と類似することが明らかになった。これらの結果から、歯根形成のメカニズムを解明するモデルが確立され、この方法を用いてセメント芽細胞の分化およびセメント質石灰化機構の解明が期待される。(2)Enamel-free areaの研究: 齧歯類臼歯咬頭にはエナメル質の存在しないenamel-free areaの出現が知られている。その発生過程をみると内エナメル上皮の基底膜そのものには変化は見られないが、enamel-free areaでは正常な領域と比較すると基底膜直下の無周期性細線維の配列に差異が認められた。歯胚発生の一時期には、enamel-free areaの上皮細胞は抗amelogenin抗体に陽性反応を示すことからamelogeninの分泌が認められるが、この上皮はエナメル芽細胞よりもむしろ口腔上皮に類似したサイトケラチンパターンを示すことが判明した。enamel-free areaの研究は歯胚発生におけるエナメル芽細胞の機能分化解明の大きな手掛かりになるものである。(3)軟骨の石灰化に関する研究: 本来、メッケル軟膏は石灰化することなく消失する運命にある。このメッケル軟骨を我々が考案した器官培養法、ならびに単離細胞培養法によって培養を行うといずれも消失することなく石灰化基質を誘導する。石灰化の過程で軟骨細胞は骨細胞特有の蛋白を発現するようになり、軟骨細胞から骨細胞への形質転換を起こすことが新たに判明した。このような形質転換は、単離細胞培養からみて基質の量と細胞増殖能とが密接に関係していることが判明した。本研究は軟骨の石灰化と細胞の機能転換解明の大きな手掛かりとなる。
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