研究概要 |
BMPを歯内療法領域への応用を考えるに当たり、そのの担体として流動性を持つスクアランについて着目した.そこで,これを担体として用いた場合のBMP活性の発現状況を病理組織学的に研究したところ,対照のものと同様であり,その発現を阻害せず担体として機能することが確認された.さらに生体内に埋入した場合の安全性についても確認された.以上の結果を踏まえ,研究費の大部分を費やして構築した画像解析システムによって定量的に評価した.すなわち,スクアランに分散させたBMPをddYマウスの大腿部筋膜下組織内に埋入し1週から4週経過後摘出,ホルマリンにて固定した.Softex CMBによって軟X線写真を撮影し,形成された骨組織による不透過像を今回構築した画像解析システムによって計測した.すなわち,マイクロスキャナーによってMacintoshのPhotoshop上にX線画像を取り込み,画像の反転操作を行った.骨形成部分の画像を構成する画素数を計測し,これを対照群と統計的に比較した.なお,対照としてはBMPのみのものを用意した.その結果,実験群,対照群ともに1週では骨形成を思わせるX線不透過像の形成はなかったが,2週以降では周辺部が比較的不透過性の亢進した境界の明瞭な不透過像が出現していた.これは対照群で若干小さな傾向を示していた.これの計測結果では,実験群は対照群との比較において,約40%高く,これは5%の危険率で有為さのあることが確認された. 以上の検索結果により,スクアランはBMPの担体として有効に働いており,流動性を持ったBMP担体として臨床応用できる可能性が示唆された.従って,今後はBMPとスクアランの混合物を用いて,当初の目的である歯髄あるいは根管等に応用し,歯内療法領域におけるBMPの臨床応用の基礎的な研究を進める予定である.
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