研究課題/領域番号 |
06454517
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
北村 勝也 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (50047784)
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研究分担者 |
岡村 和彦 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (00224056)
谷口 邦久 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (90105685)
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キーワード | 外傷性咬合 / 歯周炎 / 糖尿病 / 神経線維 / 神経分布 / ラット |
研究概要 |
歯冠の補綴学的修復をおこなった際に、咬合の高さの調節不良により、負担過重となり、外傷性咬合を生じる。外傷性咬合は歯周組織を破壊し、歯周炎の原因の一つに挙げられている。この場合、歯周組織に分布する神経線維には何らかの変化が生じることが考えられる。一方、糖尿病患者に糖尿病性歯周炎が生じることが報告されている。そこで、外傷性咬合の歯周組織への影響を知る目的で、実験的に健康動物(対照群)と糖尿病に罹患させた動物(糖尿病群)に咬合性外傷を起こさせ、その際の歯周組織の変化および神経分布の消長について両者を比較検索した。 実験には、10週齢のラットを用いた。糖尿病ラットについては、4週齢のラットに5mg/kgのストレプトゾトシン(STZ)を腹腔内投与し、テス・テープで尿糖陽性を確認後、10週齢にて外傷性咬合の実験を行った。下顎第一臼歯の咬合面に金属ピンを植立して咬合を高くし、対合側の上顎第一臼歯に咬合性外傷を起こさせた。術後1日から3週についてパラフィン連続切片を作製し、H・E染色と尿素・硝酸銀法による神経染色を施し鏡検した。 術後1日には対照群、糖尿病群ともにことに髄床底部で歯根膜腔の挟窄がみられ、歯根膜の硝子変性がおこっていた。その部の神経線維は染色性が低下していた。その後両群とも歯根膜の硝子変性部の歯槽骨の骨髄側に破骨細胞による穿下性骨吸収がみられるが、対照群に比べて糖尿病群では破骨細胞の数が少なく骨吸収も劣っていた。術後1週以降、対照群は歯根膜腔が拡大し、修復性変化がみられるのに対して、糖尿病群では、未だ歯根膜の挟窄による硝子変性が残存し、歯槽骨の穿下性吸収もみられ、明らかに修復性変化が遅れていた。神経分布は、初期の硝子変性部には神経線維はほとんどみられないが、その後細い神経線維がみられるようになった。糖尿病群では対照群に比べ神経線維がやや少なかった。
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