平成6年度の実験においては概ね次のような結果を得た。 1) 規則的な明暗サイクルのもとで飼育したラット240匹について、一日の様々な時間帯(8、12、16、20、24、4時)に0、1、2または4u/kgのcalcitoninを投与し、血清カルシウムと燐値の低下を指標として、それぞれの時間帯ごとに用量反応曲線を得た。その結果、calcitoninの効果には大きな日内変動があることが確認され、その効果は明期の中期において最も大きかった。 2) 規則的な明暗サイクルのもとで飼育したラット40匹を用い、骨吸収のblockerであるbisphosphonateを4ないし5日間連続投与し、骨をラベルした。2日後から、4時間ごとに採血し、血清カルシウムと燐の値を測定した。その結果、bisphosphonateを投与した群では、対照群に比べて、いずれのパラメーターについても有意の低下が見られた。しかし、その程度は、この動物の休止期に当たる明期において最も大きく、暗期においては小さかった。 3) 実験的に骨粗鬆症を起こさせる目的で、雌ラット40匹の卵巣を摘出した。卵巣を摘出した後、毎日8時ないしは20時に10ng/kgのestradiolを1か月間に亘って皮下注射した。その結果、estradiolを投与した群では、対照群に比べて、骨量の減少が抑制され、その骨量は無処置の対照群(卵巣を摘出しなかったラット)と比べても、むしろ増加していた。また、その効果には有意の日内変動が見られ、20時投与群に比べると8時投与群における効果が大きかった。 4) 以上の様に、用いた3種の骨吸収のblockerの効果には、いずれも有意の日内変動が認められること、そしてその効果は、総じて明期に高いことが推測された。
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