研究課題/領域番号 |
06454521
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
滝川 正春 岡山大学, 歯学部, 教授 (20112063)
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研究分担者 |
服部 高子 岡山大学, 歯学部, 助手 (00228488)
中西 徹 岡山大学, 歯学部, 助手 (30243463)
高橋 浩二郎 岡山大学, 歯学部, 助教授 (00144775)
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キーワード | 軟骨細胞 / 軟骨特異的遺伝子 / ディフェレンシャル・ディスプレイ / 遺伝子クローニング / 結合組織増殖因子 / 軟骨肉腫細胞株 / 細胞増殖 / 細胞分化 |
研究概要 |
1。昨年度、軟骨系の細胞と骨芽細胞系の細胞との間に,differential display法を適用し、7個の未知遺伝子と数個の既知遺伝子と相同性を有する遺伝子が得られたが、その内、今まで軟骨細胞での発現が報告されていないヒト結合組織増殖因子(human connective tissue growth factor : CTGF)と相同性を有するヒト軟骨肉腫細胞株HCS由来の遺伝子断片について詳細に検討した。即ち、この遺伝子断片をプローブとして各種細胞から抽出したRNAを用いノーザンブロットしたところHCS-2/8細胞とウサギ肋軟骨成長軟骨細胞に強い発現を認めた。また、昨年確立したウサギ肋軟骨成長軟骨細胞in vitro増殖・分化系では、その発現が肥大化期に最大となった。 2。17日齡マウス胎仔のin situハイブリダイゼーションにてこの遺伝子のmRNAの発現局在を検討したところ、軟骨細胞特に肥大軟骨細胞に強い発現を認めた。 3。HCS-2/8細胞のcDNAプールを鋳型DNAとしてPCR法によりこの遺伝子のcDNAのクローニングを行った結果,この遺伝子hcs24はCTGF蛋白をコードしており、ctgfと同一の染色体DNAに由来することが判明した。 4。抗PDGF抗体がCTGFを認識することを利用し、ウエスタンブロットでHCS-2/8細胞がCTGF蛋白を産生していることを明らかとした。 5。HCS-2/8細胞におけるctgf/hcs24のmRNAの発現は内軟骨性骨形成に重要な役割を果たすTGF-βやBMP-2により著明な誘導を受けた。 6。昨年来改良してきたHCS-2/8細胞in vitro増殖・分化系を用い、その分化開始期にアンチセンスDNAを添加するとそのプロテオグリカン合成が抑制され、一方、増殖期に添加するとその増殖が著明に抑制された。さらに、ウサギ成長軟骨細胞in vitro増殖・分化系ではアルカリホスファターゼ活性を増加させた。したがって、ctgf/hcs24の遺伝子産物すなわちCTGFは増殖期の軟骨細胞に対して、細胞が分化、成熟するのを抑え増殖を促進する因子として作用することが示唆された。
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