研究分担者 |
宮浦 千里 昭和大学, 歯学部, 講師 (20138382)
片桐 岳信 昭和大学, 歯学部, 助手 (80245802)
宇田川 信之 昭和大学, 歯学部, 助手 (70245801)
瀧戸 次郎 昭和大学, 歯学部, 助手 (00197237)
須田 立雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (90014034)
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研究概要 |
生体のカルシウムのバランスは小腸からのカルシウムの取り込み、腎臓における再吸収、骨からのカルシウムの溶出と蓄積によって巧妙に調節されている。これらの組織には、活性型ビタミンD[1α,25(OH)_2D_3]と副甲状腺ホルモン(PTH)の受容体が存在し、両ホルモンが相互に作用してカルシウムバランスを正に保っている。腎臓は1α,25(OH)_2D_3の産生、PTHによるカルシウムとリン酸の取り込みを司り、小腸は1α,25(OH)_2D_3のレベルに応答して食物中のカルシウムを積極的に取り込み、骨へのカルシウムの蓄積を促進させる。しかし、腎におけるビタミンDの活性化の制御機構ならびにその代謝に及ぼすPTHの作用に関しては充分解析されていない。 我々はこれまでに、腎臓、骨ならびに小腸におけるビタミンDの作用を1α,25(OH)_2D_3によって特異的に発現が調節されている酵素(24-水酸化酵素)の誘導を指標として調べ、1α,25(OH)_2D_3による24-水酸化酵素の誘導機序を明らかにした(J.Biol.Chem.267:13757,1994)。平成6年度は、腎臓は高度に分化した細胞が集合して一つのネフロンを形成していることから、各セグメントの機能も部位によって著しく異なる。従って、マイクロダイセクション法によりネフロンをセグメントに分割して各セグメントにおけるビタミンD受容体を介した24-水酸化酵素の転写調節を検索し、以下のことを明らかにした。(1)正常動物では、24-水酸化酵素はネフロンの近位尿細管の曲部でのみ発現しているのに対し、ビタミンD受容体は、ネフロンの近位尿細管以外に遠位尿細管においても発現していることが明らかになった。(2)ビタミンDを含む低カルシウム食を与えることによって1α-水酸化酵素活性を亢進させると、近位尿細管細胞の24-水酸化酵素ならびにVDRの発現が著しく抑制された。一方、遠位尿細管では1α-水酸化酵素の亢進の結果上昇した1α,25(OH)_2D_3によって、24-水酸化酵素の発現が増加することが示された。 以上の結果から、腎臓の近位尿細管細胞における25(OH)D_3の代謝スイッチはVDRの発現を介して行われ、VDRの発現調節因子としては、副甲状腺ホルモンが重要な役割を果たしていると推察された。
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