本検索からSCIDマウス移入後のSS-BCLとLCLは、移入前と比べてapoptosisに対して抵抗性を示す傾向が認められたことから、マウスにおける腫瘍形成の機序にapoptosis抑制機構が示唆された。バ-キットリンパ腫由来の細胞株Rajは、10%血清培養時ではSS-BCLやLCLと比較して細胞の増殖能が著しく高いため、Rajiの腫瘍形成にはSS-BCLやLCLと異なり細胞の増殖性の関与が考えられ、腫瘍状病変の成立機序の相違がみられた。apoptosis抑制に関与しているBcl-2発現が、移入前のSS-BCLにのみ優位に検出され、apoptosis抵抗性を示した移入後のSS-BCLでその発現が更に亢進していたことから、SS-BCLによるマウスでの腫瘍形成には、Bcl-2を介したapoptosis回避機構の関与が示唆された。最近ではBAG-1^<3)>をはじめとした、Bcl-2を介さないapoptosis抑制の経路が報告されているため、LCLでもBcl-2を介さない他のapoptosis抑制の機序が考えられた。 本検索で、移入後のSS-BCLにだけLMP-1遺伝子のB領域が検出され、加えて、フローサイトメトリーの検索ではこのSS由来の細胞株にのみ、優位にBcl-2の発現亢進が認められた。以上のことから、SS-BCLの細胞集団の中で、ある特定のLMP-1配列を持つEBV感染細胞だけが、bcl-2の発現亢進を誘導しapoptosisを抑制した可能性が考えられた。
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