研究概要 |
平成6年度の研究から象牙質規格窩洞に光重合型コンポジットレジンを充填し低出力長時間照射によって重合させると良好な窩壁適合性が得られた。また硬化したレジンは臨床的に許容されると思われる機械的強度(ヌープ硬さ,圧縮強さ)であった。しかし,低出力照射では重合度の低下およびレジンからの未重合モノマーの溶出のため機械的強度が低下する可能性もある。本年度は,低出力照射されたレジンからの未重合モノマーの溶出量を測定し,通常出力の場合と比較検討した。照射条件は低出力照射として8V/40s,8V/60s通常出力照射として12V/40s,12V/60s低出力照射+通常出力追加照射として8V/20s+12V/40s,8V/30s+12V/30sを設定した。φ6mm×2mmのスプリット型ステンレスモ-ルドにLite-fil II A,shadeA2を充填し一方向より上記条件にて光照射し円柱試料を作製した。試料を75%エタノール2ml中に37℃1時間遮光下で浸漬後,5μlを採取し高速液体クロマトグラフィーにて未重合モノマーを測定した。測定にはカラム:Micro Bondapak C18,移動相:70%エタノール,流速1ml/minを用いた。モノマーの標準物質としてHEMA,TEGDMA,Bis-GMAを使用し観察された3つの主たるピークはそれらの標準物質と一致していた。各々3試料の測定を行いその中間値を各照射条件の代表値とした。検出されたモノマー溶出量は各照射条件での光エネルギーに負の対数相関を示した。低出力照射+通常出力追加照射では通常出力照射に近い溶出量であったが低出力照射では溶出量が多かった。本研究で検出された未重合モノマーはレジン重合体の網目構造内に存在していたため溶出試験前のレジンの機械的強度にあまり影響を与えなかったと考えられる。従って溶出試験後の試料の機械的強度について追加実験が必要であると思われる。
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