研究概要 |
Fcγレセプターを介した貪食能測定系の確立 蛍光ビーズにBSAをコートし、さらに抗BSAウサギIgGを結合させることによりFcγレセプターのみを介した貪食能を測定することが可能となる。この測定系において再現性があり妥当な貪食率を示し、かつ歯肉溝滲出液PMNを考慮した2X10^5細胞の系を確立するのに多くの時間を費やした。健常者の末梢血PMNでおこなうと、Fcγレセプターを介した貪食率は45-70%,対照となるBSAコートビーズの貪食率は、5%以下となっている。さらに、FcγレセプターIII(CD16)、II(CD32)モノクローナル抗体を作用させて貪食を行うと,CD16では75%、CD32では50%の抑制効果が認められた。以上より、本貪食能測定系は主にFcγレセプターを介することが明確となった。 末梢血並びに歯肉溝滲出液PMNの貪食能、Fcγレセプター発現 第1段階として、成人性歯周炎患者の末梢血(PB)並びに歯肉溝滲出液(GCF)中PMNのFcγレセプターを介した貪食能とFcγレセプターIII,IIの発現量(蛍光強度)を検討した。貪食率は、PBで58-66%に対してGCFでは4-15%と著明に減少していた。さらに、同患者のFcγレセプターIII,IIの蛍光強度は、PBではそれぞれ63-98,41-49に対してGCFでは16-19,10-23と有意に減少していた。このことから、歯肉局所におけるFcγレセプターの減少と貪食能の低下が示唆された。 Fcγレセプター発現機構のmRNAレベルでの検索 歯周炎患者の歯肉溝滲出液中PMNでは、FcγレセプターIII,IIの減少が認められ、この現象がtranscription levelでの変化によるかどうかを、CD16,CD32PC,CD32TCprimerを使用して、RT-PCRを行いβ-actin mRNAに対する各レセプターのmRNAの割合を検索中である。
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