研究課題/領域番号 |
06454537
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三木 靖夫 大阪大学, 歯学部, 助教授 (80165993)
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研究分担者 |
島袋 善夫 大阪大学, 歯学部, 助手 (50231361)
楠本 豊 大阪大学, 歯学部, 助手 (40252689)
島内 英俊 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70187425)
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キーワード | 歯周病 / 創傷治療 / 組織再生 / 歯根膜細胞 / 細胞分化 / 細胞株 / bFGF / bFGFレセプター |
研究概要 |
本年度は、マウス歯根膜由来細胞株(MPL-1)の樹立に成功した。MPL-1は、10%FCSとbFGFの存在下で維持することにより未分化なステージを持続したまま増殖するが、bFGFを除くことにより成熟、分化を開始し、骨芽細胞様の分化過程をたどる細胞株であった。また、MPL-1は種々の成長因子に対しての応答性を保持しており、最終分化した後にはβ-グリセロリン酸非存在下でも石灰化物を形成する能力を発揮することが明らかとなった。このようにMPL-1は、生理学的環境に近い条件下で骨芽細胞様の分化過程を忠実に再現する細胞株であることから、歯根膜細胞の分化機構を解明する上で極めて有用な細胞株であることが示された。 また、ヒト歯根膜由来細胞の機能解析により、ヒト歯根膜細胞はbFGFレセプターおよびPDGFレセプターを発現することを明らかとした。とりわけ、bFGFレセプター数はヒト歯根膜由来細胞の分化過程に相関して変動することから、歯根膜細胞の分化マーカーとなり得る可能性が示された。 さらに、MPL-1およびヒト歯根膜由来細胞の対するbFGFの影響を検索した結果より、bFGFは両細胞の増殖を促進するが、アルカリフォスファターゼ活性は抑制することが明らかとなった。これらの結果は、bFGFが歯根膜細胞の分化を抑制する作用を有することを示すもので、歯根膜細胞の分化機構を明らかにする上で重要な因子であることが示された。次年度は、MPL-1の生理活性を解析および歯根膜細胞の分化に伴う各種マーカーの変動の検討を行うことにより歯根膜細胞の分化機構を明らかにしたい。
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