研究課題/領域番号 |
06454541
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
恵比須 繁之 徳島大学, 歯学部, 教授 (50116000)
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研究分担者 |
多川 知里 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90253210)
野杁 由一郎 徳島大学, 歯学部, 助手 (50218286)
松尾 敬志 徳島大学, 歯学部, 助教授 (30173800)
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キーワード | 歯周炎 / 歯周ポケット / 歯肉縁下プラーク / スペロヘ-タ / 歯周組織破壊 / T細胞 / B細胞 |
研究概要 |
ヒトの歯周ポケットの最深部、すなわちプラークフリーゾーンに棲息する細菌種を同定するために、重度成人性歯周炎に罹患し抜去された歯を対象として、4種類の歯周病関連細菌に対する特異抗体を用いた走査免疫電顕法により検索した。Porphyromonas gingivalisおよびTreponema denticolaは披験試料の約半数のプラークフリーゾーンから実際に検出され、これらの細菌と歯周炎の進行との関連が示唆された。また、Prevotella intermediaは検索した7試料のうち1試料で認められたのみで、前年度の研究結果と合わせて考えると、同菌は主に上皮関連プラークに局在すると思われる。一方、歯周ポケット底部の2次電子像で観察されたスピロヘータや桿歯の半数以上の菌体は4種の特異抗体に陽性反応を示さず、4菌種以外に未同定の細菌がプラークフリーゾーンに多数存在していることが明らかとなった。 成人性歯周炎の病変部局在から採取した炎症歯肉を対象として、T細胞とB細胞がどのような関係にあるときに組織破壊が起こるかを、線維芽細胞を歯周組織破壊の指標として免疫組織学的に検討した。その結果、炎症浸潤細胞の増加にともないT細胞とB細胞がともに増加するが、T細胞は炎症浸潤細胞が少ない時より出現し、その後徐々に増加するのに対し、B細胞は炎症細胞数が0.1mm^2当たり約150個になるまで出現せず、その後急激に増加することが明らかとなった。線維芽細胞は炎症浸潤細胞の増加とともにその数が減少し、炎症浸潤細胞と負の相関を示した。またB細胞も線維芽細胞と負の相関を示したが、T細胞は線維芽細胞と有意な相関を示さなかった。これらの結果より、炎症初期においてはT細胞が浸潤し、遅れてB細胞が浸潤するが、B細胞の増加はT細胞のそれより大きく、炎症の進行過程で炎症浸潤細胞中に占めるT細胞とB細胞の役割が逆転することがヒトの病巣局所で確認された。
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