研究概要 |
GTR法における保護膜として生体内吸収膜が有効であるか否かを検索する目的で本実験を行った。雑種成犬5頭を用い、下顎P_3,P_4の近心根頬側歯槽骨を除去し,スケーリング・ルートプレーニング後,この部に乳酸-グリコール酸共重合体膜,多孔性,厚さ200μmを応用した。実験期間は8週とし,病理組織学的に検索し,以下の結論を得た。 1.膜による周囲組織への為害性を示す炎症性細胞浸潤は認められなかった。 2.8週間の実験期間において乳酸-グリコール酸共重合体膜は,その外形を保持し,根表面への上皮細胞,歯齦結合組織細胞に対するバリヤ-として働いていることが示された。 3.上皮の根端側方向への侵入は対照群で0.39mm,実験群で0.25mmと有意に実験群で小であった。 4.新生セメント質形成量は,対照群で0.41mm,実験群で1.68mmで有意に実験群で大であった。 5.新生骨形成量は,対照群で0.46mm,実験群で0.84mmで対照群に比較し実験群で約2倍の形成量が示された。 以上の成績より,ポリ乳酸-グリコール酸共重合体膜はGTR法における保護膜として有効であり,現在用いられている非吸収性膜にかわる吸収性膜として使用可能であることが示唆された。
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