ラッパ状根管を有する歯根未完成無髄歯に、アペキシフィケーションを施した後の根尖部創傷部治癒に関し、組織学的観察を行った。実験動物として推定年齢2歳のカニクイザル3頭の臨床的健康永久歯を用いて実験を行った。全身麻酔と局所麻酔を行った後、ラバーダム防湿下で髄室開拡を行い冠部歯髄を除去した。残存する根管歯髄に高周波電流を応用し歯髄の焼灼を行い、根管を開放する感染群と仮封する非感染群に分けられた。 約1週間後、ラバーダム防湿下で感染根管治療を開始し、根管消毒の後、水酸化カルシウムあるいはFR-Caを根管内に応用した。 実験期間の1、3、5カ月経過後、動物を中性ホルマリン頭頸部灌流固定で屠殺した。脱灰連続パラフィン切片を作製し、H-E染色を施し、光学顕微鏡にて観察した。 次の結果が得られた。 1.高周波電流の電極に接触した歯髄組織は焼灼され壊死したが、離れた組織は生活組織のまま残存した。 2.歯根未完成歯の根管壁が薄い歯では、歯根膜や歯槽骨に根管内温度の上昇による火傷を生じ、外部吸収や骨性癒着を示した。 3.未完成歯モデルのうち非感染群に水酸化カルシウム応用のアペキシフィケーションを行ったところ、根管内をほとんど埋め尽くす多量の骨様象牙質様の硬組織が根尖孔部に添加した。 4.歯根の継続的発育は主に骨様象牙質により続いたが、歯根尖の異常形成や根管の過度の石灰化がみられた。 今後、感染群との比較を行い、さらに詳細を検索する予定である。
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