研究概要 |
チタン鋳造機において,一方向加圧鋳造機(二室加圧型)と全方向加圧鋳造機(一室加圧型)の鋳造特性の違いを明らかにするため,様々な鋳型空洞内を流れるチタン溶湯を,流れの可視化手法の一つで,本研究によって開発発展させた「標識元素溶解法」を用いて検討を加えた.また,鋳造体のX線透過写真により欠陥検査を行い,湯流れと対応させて考察した.今年度は特に,一室加圧型鋳造機の場合,鋳型通気性の影響が大きいことが予想されたため,通気度の非常に異なる埋没材を用いて実験した. 本年度の研究で得られた主な結果は以下のようにまとめられる. 1.一室加圧型では,鋳型通気度が大きいと,厚いパターンでは内部に,薄いパターンやメッシュパターンでは外部に欠陥が発生しており,それぞれキャビテイ内湯流れに関係していた.また,通気度の小さい埋没材を使用した場合,両方の結果ともほとんど認められなかった. 2.通気度の小さい埋没材を使用すると,埋没操作の限界に近い直径1.5mmのスプル-を用いた場合でも,薄い鋳造体およびメッシュ鋳造体ではほとんど欠陥が生じなかった.これは溶湯が非常にゆっくりと流れても,鋳造圧さえ十分に作用していれば,凝固することなく充満することを意味している. 3.厚い鋳造体では渦の中心近傍に小さな内部欠陥が比較的多数認められた. これは外部から侵入したガスではなく,元々存在していたガスが溶湯に巻き込まれた結果であると観察される.
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