研究概要 |
チタン鋳造機において,一方向加圧鋳造機(二室加圧型)と全方向加圧鋳造機(一室加圧型)の鋳造特性の違いを明らかにするため,様々な鋳型空洞内を流れるチタン溶湯を,流れの可視化手法の一つで,本研究によって開発発展させた「標識元素溶解法」を用いて検討を加えた.また,鋳造体のX線透過写真により欠陥検査を行い,湯流れと対応させて考察した. 本研究で得られた主な結果は以下のようにまとめられる. 1.一室加圧室型によるチタン鋳造体の湯流れの模様から,二室加圧型よりも流速の大きいことが推測され,これは大きな圧力(7Kg/cm^2)が急激に作用したためと思われる. 2.厚いキャビティでは,乱流になる場合があり,そのとき凝固層が鋳壁全体を覆う時期が層流の場合より遅れ,鋳壁を通って拡散したアルゴンガスにより内部欠陥が発生しやすい.(一室加圧型) 3.薄いキャビティでは流れが遅いため,キャビティ全体に溶湯が行き渡る前に,鋳壁を拡散してきたガスにより未充満空間の圧力が高くなり鋳込み不足が生じる.(一室加圧型) 4.一室加圧型では,鋳型通気度が大きいと,厚いパターンでは内部に,薄いパターンやメッシュパターンでは外部に欠陥が発生しており,それぞれキャビティ内湯流れに関係していた.また,通気度の小さい埋没材を使用した場合,両方の結果ともほとんど認められなかった.
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