1 基礎的研究 実験的な骨粗鬆症モデルを作成するために、老齢(5歳〜6歳)な雌、ビ-グル犬、6匹に卵巣摘出術を行った後に、低Ca栄養食で長期間(6ヶ月以上)飼育した。 また下顎臼歯部欠損状態を得るために、片側臼歯4本を抜歯した。 卵巣摘出前および卵巣摘出後の飼育期間中に、全身骨格(脊椎・四肢)のX線写真と顎骨のCTscanを規格撮影して、これら骨組織の経時的変化を観察するとともに骨塩量を測定した。さらに血清生化学検査(Ca、P、PTH、カルチトニン、オステオカルチン、ビタミンD)、尿生化学検査(エストロゲン、ピリジノリン)ならびに大腿骨の病理組織学的検査を行い、骨粗鬆症に至るまでの経時的推移を検索した。 骨粗鬆症モデルが得られたことを確かめた後に、大腿骨ならびに下顎抜歯に骨結合型チタンインプラント(ブロ-ネマルク・インプラント)を埋入する予定である(平成7年3月中頃を予定)。 2 臨床的研究 平成6年度に当科において骨結合型チタンインプラント(ブロ-ネマルク・インプラント)の治療を受けた患者8名について、顎骨組織の放射線学的検索、病理組織学的検索、生化学的検索を行うとともに、血清生化学検査を行い、顎骨内に埋入したチタンインプラントの生着との関連性を比較検討した。 老齢な女性患者で下顎骨に骨粗鬆症が疑われる場合でも、下顎骨内に埋入したチタンインプラントが生着して強固な骨結合を得るようになることを期待できる反面で、2名の患者では各々1本ずつのチタンインプラントが脱落しており、骨粗鬆症患者ではリスクが高いことも再認識させられている。(生体側がインプラントを排斥した原因については、詳細に分析中である。)
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