研究概要 |
1.高齢全部床義歯装着者におけるタッピング運動時の咬合力による評価. 昨年度の研究成果は,咀嚼筋筋電図と下顎運動(MKGK6-I)の同時記録により,咬合相における筋活動量から、咬合力を算出する方法を考案し、確立したことである。本年度は、咬合相筋活動量と実測した咬合力との散布図に最もよく適合する回帰曲線を見い出し,誤差の少ない咬合力を算出することにより,評価を行う顎機能解析システムを完成した.このシステムを用いて,全部床義歯患者10名について旧義歯と新義歯の評価を行ったところ,いずれの被験者においても,新義歯の装着により,タッピング運動における咬合力は,高い値となり,客観的評価法として十分信頼できることが認められた. 三次元咬合力測定装置の開発と臨床応用. 3個のロードセルを組み合せて,試作した三次元咬合力測定装置の硬正実験および精度試験を行ない,3名の全部床義歯患者に対して本装置を組み込んだ義歯床を用いて咬みしめ時における表面筋電図との同時測定を行なった.これまで.垂直的咬合力と咬筋,側頭筋の筋活動量の関係から咬合力を算出していたが,咬合力と咀嚼筋の作用方向をも考慮した三次元的解析により,さらに詳細な分析が可能となった.本年度は,三次元咬合力と筋電図積分値の相関性,咬合力の方向と被験筋のコーディネーションを観察し,咬みしめ時の咬合力値の算出ならびに三次元的方向について検討した.今後,三次元咬合力と筋電図積分値の相関性を明らかにした上で,義歯の機能評価に応用することにより,本研究を発展させていく予定である.
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