研究概要 |
本研究は医療従事者の職業性アレルギーに焦点を当て,歯科材料関連の物質に対するアレルギー性の実態を皮膚科などと協力し,調査研究するものである. 大阪歯科大学ならびに同付属歯科技工士専門学校において教員ならびに学生のボランティア15人に対して,春季および秋季にパッチテストを施行した.国際接触皮膚炎研究班(ICDRG)の方法に準じて、パッチテスト用チャンパー内に歯科材料に関連した40種のアレルゲンを塗布し,パッチテスト用テープにてボランティアの背部に貼付した.貼付48時間後および72時間後に背部皮膚を観察し,日本パッチテスト研究会の基準にしたがって、皮膚反応の程度別に-から++++までスコアした.同時に写真撮影を行い,背部皮膚の印象を採得,模型を製作し,データをパーソナルコンピュータを介してフィルムレコーダに効率よく保存した.また,経年的なデータをフィルムレコーダにより逐次出力し、ボランティアに対しての啓蒙とデータ解析に有効利用した. その結果,水銀,エポキシレジン,せっこうに対しての陽性者が各々1名あり、それらの皮膚反応をも含めたデータを保存し,従来からの構築されたデータと合わせてデータベースを構築して継続調査に活用できる体制が整った.さらに,アレルギー反応陽性者に対しては今後の注意すべき事柄を通知するとともに、経年的な経過観察を行う予定である.その上,ボランティアを含めた教員や学生に対しての医療従事者の職業性アレルギーについての啓蒙が十分になされた. 今後は更なる調査研究の実施の必要性が確認されたと同時に,多角的なデータ解析のアプローチを目指したい.
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