研究課題/領域番号 |
06454594
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長澤 滋治 北海道大学, 薬学部, 教授 (70029958)
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研究分担者 |
村上 裕介 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (10250466)
西村 仁 北海道大学, 薬学部, 助手 (80241347)
高橋 和彦 北海道大学, 薬学部, 助教授 (10113581)
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キーワード | 補体 / 食細胞 / 活性酸素 / アポトーシス |
研究概要 |
1:食細胞の貪食活性に及ぼすC1qの影響 生体内で免疫複合体が生成すると、補体系が活性化され、免疫複合体にC1qが結合する。食細胞には抗体Fcレセプターの他にC1qレセプターも存在する。そこで、免疫複合体にC1qが結合することによる貪食応答の変化を解析した。その結果、i)C1qが結合することにより、貪食効率が2倍に増加する、2)一般に、免疫複合体の貪食に伴って活性酸素が生成し、細胞外に放出されるが、C1qの結合した免疫複合体では、貪食亢進とともに活性酸素量も増加するが、そのほとんどは食胞内に留まり、細胞外への活性酸素放出量は減少した。これは、C1qの結合により、食細胞はC1qレセプターとFcレセプターを介して異物を細胞内に取り込むとともに、速やかに食胞を閉鎖することにより活性酸素の食細胞外への放出を抑制することを意味する。C1qは、活性酸素による近傍組織細胞の損傷を回避する働きをしている可能性を示唆する。 2:アポトーシスによる自己補体活性化 補体系は自己-非自己を識別する酵素系であり、自己細胞表面では活性化しない。これは、自己細胞には補体活性化分子が存在しないことと、自己補体活性化を制御する膜蛋白質を細胞表面に発現していることによる。細胞が栄養状態の変化によりアポトーシスと呼ばれるプログラム細胞死をおこすと、自己補体を活性化することを見いだした。このアポトーシス死細胞の補体制御因子には変化が見られないことから、アポトーシスにより新たな自己補体活性化因子が細胞表面に発現する可能性が強い。この知見は、補体は侵入異物の監視機構として働く他に、死細胞の排除という生理的な機構にも働く酵素系である可能性を示唆する。
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