哺乳類細胞の細胞周期の進行においてcdk2遺伝子はG_1期からS期の進行において重要な役割を担っていると考えられている。このcdk2のパートナーであるサイクリンA、サイクリンEいずれもその発現は細胞周期で特徴的である。一方cdk2遺伝子そのものもG_1期からS期にかけて発現されていると考えられる。そこで本研究ではcdk2ゲノミック遺伝子を単離しこの発現を制御する領域を同定することを試みた。マウスcdk2ゲノミッククローンを解析したところこの遺伝子は7個のエクソンから構成されていた。5′上流領域の配列をみると典型的なE2F結合配列は存在せず、またTATAボックスを持たずSP1結合サイトが4箇所クラスターをなしていることからSP1配列がcdk2遺伝子のプロモーターの役割をはたしていると考えられた。またAP2、PEA3サイトが3ヵ所存在した。5′上流領域をルシフェラーゼ遺伝子につなぎ、PEA3サイト有る無しの遺伝子をCHO細胞に導入し、stable transformantを得た。このCHO細胞で細胞周期におけるこの遺伝子の発現を調べたところPEA3サイトの存在がこの遺伝子の細胞周期進行に依存した発現に必須であるように思われた。一方cdc2キナーゼの活性制御機構についてはwee1キナーゼに注目し、wee1キナーゼ活性制御因子を酵母two-hybrid法を用い、マウスwee1キナーゼと結合する蛋白質として単離することを試みた。その結果、マウス14-3-3ζcDNAが単離された。この14-3-3ζをMBPやGSTの融合蛋白質として大腸菌で発現させ、バキュロウイルスで発現させたwee1との結合について調べたところ、非燐酸化型wee1およびcdc2キナーゼにより燐酸化されたwee1のいずれにも結合することが明らかとなった。cdc2キナーゼにより燐酸化されたwee1はcdc2/cyclinBと結合しているが、この複合体にも14-3-3ζは結合した。現在14-3-3ζのwee1キナーゼ活性に対する効果を検討中である。
|