wee1は分裂酵母のwee変異株を相補する遺伝子として分裂酵母より単離された。weel遺伝子産物は燐酸化酵素をコードしており、分裂期促進因子つまりcdc2キナーゼの活性を抑制することが明らかとなった。哺乳類wee1に関してはwee変異株にヒトcDNAライブラリーを導入してこれを相補するヒトホモログがOkayamaらによって単離され、我々はこれがcdc2キナーゼの15番目のチロシン残基を燐酸化することを示した。一方、哺乳類細胞においてはcdc2キナーゼの燐酸化は14番目のトレオニン残基においても観察され、これを燐酸化する酵素の存在が予想された。我々はRT-PCRを用いてweelキナーゼファミリーの単離を試み、wee1以上にDunphyらによってXenopuseより単離され、myt1と名付けられたwee1ファミリー燐酸化酵素に高い相同性のあるマウスcDNAを得た。このマウスmyt1ホモログ(以下myt1)はcdc2キナーゼを良い基質としThr-14、Tyr-15を燐酸化する。一方cdk2はwee1キナーゼによる燐酸化の方がmyt1キナーゼによるより強く行われることが明らかになった。さらにmyt1と以前単離したマウスwee1(Accession no.D30743)をcos-1細胞中で発現させ、蛍光染色法等を用い細胞内局在を検討したところ、wee1は核に、myt1は細胞質に存在し、特にmyt1は細胞質中に点在していることが分かった。このmyt1の細胞質局在を規定しているとおもわれる疎水性配列を削除したmyt1は細胞内一様に存在することが確認されこの配列の細胞質局在への寄与が確認された。今後はこのように配列的にも機能的にも類似した酵素の一体どちらがin vivoでcdc2キナーゼの活性を抑制しているのか、そして残された一方の酵素の真の役割とは何であるのかを明らかにするためにさらに検討をすすめる必要がある。
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