1.細胞のがん化に伴うII型ヘキソキナーゼの転写レベル亢進の分子機構を解明するために、本遺伝子のプロモーター領域を単離し、その構造解析ならびに転写調節活性の解析を行った.その結果、本遺伝子のがん細胞での転写開始部位を決定することに成功し、その上流領域の転写調節活性の解析から、主として解析した上流領域が、本アイソザイムのがん細胞での高い転写レベル発現を担っていることを明らかにした. 2.がん細胞では4種ヘキソキナーゼアイソザイムのうち、なぜII型アイソザイムが特異的に用いられているのかという問題を解明すべく、本酵素の機能的特性について解析を開始した.その結果、大腸菌を用いた大量発現系の確立に成功し、この系を用いて、グルコキナーゼとのキメラを発現させ、発現させたタンパク質の機能解析を行い、II型アイソザイムを特徴づける一次構造を明らかにした. 3.がん細胞で観察されてきたII型ヘキソキナーゼのミトコンドリアへの結合の生理的意味を明らかにするために、ミトコンドリア結合型ヘキソキナーゼの機能解析を行った.その結果、がん細胞では、ヘキソキナーゼはミトコンドリアに結合し、酸化的リン酸化反応で合成されたATPをミトコンドリア内膜のADP/ATP透過担体から直接受け取り、これを効率よく用いて解糖活性の亢進に寄与していることを見い出した。
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