研究概要 |
アデノウイルス12型EIAによるMHCクラスI遺伝子の発現制御に関与するCAAリピートエレメント結合因子H-2NRP-1はMAZ転写因子、H-2NRP-2はHMG-1をコードする遺伝子である事が構造解析の結果より明らかになった。 酵母Two-hybrid法を用いてCAAリピート結合因子H-2NRP-1は癌抑制遺伝子産物p300と分子会合する事、及び各々の抗体を用いた免疫沈降、ウエスタンブロッティング法により明らかにした。更に12型EIAの13SmRNA,12SmRNAそして5型EIAの13SmRNAの各翻訳物を使用し、TBPとの結合反応を解析した。12型13SmRNA EIAは他のEIA蛋白より数10倍TBPに対する結合能力がつよい。グリセロール遠心法により、12型EIA13SmRNA蛋白質は、TBPとH-2NRP-1両者に強固に結合し、高分子量の複合体を形成する。この複合体形成によりp300を介したTBP複合体の転写装置への減少が12型13SmRNA産物によるEIA抑制機構の本体である可能性が高い。 p300のリボザイムノックアウトウイルスを作成し、細胞に遺伝子導入すると、H-2NRP-1もH-2NRP-2もEIAによる会合反応が不可能となる、よってMHCクラスI遺伝子の発現の抑制が解除された。以上よりp300とEIA,H-2NRP-1(MAZ),H-2NRP-2(HMG1)とTBPの転写装置複合体の形成が転写抑制の本体であると考えられる。
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