研究課題/領域番号 |
06454606
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
濱口 秀夫 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (00091918)
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研究分担者 |
小林 公子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90215319)
有波 忠雄 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (10212648)
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キーワード | 精神分裂病 / ドーパミンD2受容体 / 遺伝子 / プロモーター / 関連 / 受容体数 |
研究概要 |
分裂病とD2受容体数に関する研究からは、一致した結論が得られていないが、分裂病患者の大脳基底核部や辺縁系においてD2受容体グループは増加しているとする報告が多い。これはD2受容体の発現量に関する固体差が分裂病になんらかの関連を有する可能性を示している。昨年までの研究により、分裂病と関連する可能性のあるD2受容体分子の変異検索はほぼ完了したので、平成7年度はD2受容体の5'領域の解析を行った。その結果、A-584G多型とIns/Del G-486多型を検出した。日本人における遺伝子頻度はDelは約0.2、Insは約0.8であった。この二つの多型は互いに連鎖不平衡の関係にあったが、集団での連鎖不平衡の程度は小さかった。この二つの多型とS311CやTaqI A多型との連鎖不平衡の関係は見られなかった。死後脳サンプルでの被殻におけるスピペロン結合Bmaxとの関連については、A-584G多型では明らかでなかったが、Ins/Del多型ではInsアレルでBmaxの高値と関連する傾向(P<0.03)が見られた。精神分裂病との関連はA-584G多型では見られなかったが、Ins/Del多型では精神分裂病群にInsアレルが多い傾向が見られ(P<0.08)、とくに35歳以下の発症の男性分裂病患者でコントロールと比べてInsはアレルの頻度が有意に高かった(P<0.008)。これらの結果は、ドーパミンD2受容体数の固体差が精神分裂病の罹病性に関して影響を与えていることを示唆しており、分裂病のドーパミン仮説の遺伝学的裏付けと判断された。
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