研究概要 |
1.逆位切断点を含むYACのFISH解析:STSマーカー(G51E07,GA2G07)領域をカバーする5個のCEPH-YACのうち3個(73F6,796F2,330H1)のコスミドサブクローンを用い,患者の逆位染色体におけるFISH解析を行なった結果,それらのシグナルは切断点の近位(cen)と遠位(q)に別れて表出されたので330H1が切断点を含むと考えられた. 2.コスミドサブクローンの解析と当該領域のコンティグ作製:330H1由来のコスミド160個をEcoRIで消化・電気泳動後ブロットし,各コスミドをプローブにしたサザン解析を行ない,陽性クローンをグロープ化した.各群由来の数個のコスミドを用いたFISH解析で,逆位染色体のcenとqに別れてシグナルを表出するクローン(1-57)を得た.クローン1-57,1-31,1-45はインサートの両端を切り出し,他はグループ化と同じ方法でこの領域のコンティグを作製した.1-45にはYACベクター配列がhybridizeするので,インサートの末端部分と思われた.クローン1-57,1-93,1-67は正常染色体上のFISH解析でcenに,逆位染色体上ではqとcen双方にシグナルが表出したので,切断点は本群中に含まれると考えた.しかし,この3種およびこれらのEcoRI断片をプローブとした患者DNAのサザン解析では切断点由来のextra bandが検出できなかった.これらの結果は,330H1-YACがキメラや欠失を有しているためか,または解析領域がalphoidDNAなどとの相同性を示すためだと思われた.3.21番染色体特異的ライブラリーでの解析:新たに他の方法で作製された21番染色体特異的コスミドライブラリーを入手し,G51E07/GA2G07間のSTS(D21S215と26FF3R)に相当するコスミドを取得した.これらのクローンを用いたFISH解析では,切断点はG51E07とD21S215の間に存在することが判明した.現在新たにマーカー間のコンティグを作製し解析中である.
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