研究課題/領域番号 |
06454611
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
島 知子 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10172868)
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研究分担者 |
古山 順一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30068431)
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キーワード | ATBF1 / マウスATBF1 / alternative splicing / 神経分化 / 白血球分化 / ホメオドメイン / 造腫瘍性 / triplet repeat |
研究概要 |
I. ATBF1遺伝子(ATBF1-B)はヒト肝癌細胞株のcDNAライブラリーからクローニングされた(生物物理化学に発表)。Alternative splicing isoformは細胞分化や悪性化に伴って認められることから(J. Mol. Endocrin.に発表)、ATBF1のisoformのクローニングを試みATBF1-Aを見出した。ATBF1-A、-Bはそれぞれ約400kDa、300kDaの巨大な蛋白をコードする(JBCに発表)。ATBF1-Aは培養細胞の神経分化時に著明に発現が誘導された。マウスATBF1-Aをクローニングし組織での発現をみると、成人マウスでは低いが胎児-新生児マウスの脳に高発現していた(Geneに発表)。一方前骨髄性白血病細胞の顆粒球分化時にはATBF1-B発現のみが上昇し、isoform発現と細胞分化の関連が示され、今後他の細胞系での検討が必要である。 抗ATBF1 polyclonal抗体によるWesternブロットでは約250kDaのバンドが検出され、抗体結合部位の解析からATBF1はホメオドメインを介してダイマー形成する可能性も示唆された。 II. ATBF1発現ベクターをNIH-3T3とPC12細胞にトランスフェクションすると、継代後にATBF1がintegrationされているクローンが消失した。これは、ATBF1が細胞増殖に負に働きATBF1低発現細胞のみが選択的に増殖したことを示唆する。Iの結果とあわせATBF1遺伝子は細胞分化誘導を介して造腫瘍性の抑制に関わる可能性がある。 III. ATBF1遺伝子内のtriplet repeatの正常人における多型を検討し、CAA repeatに6〜10回の多型を見出した。神経変性疾患患者をランダムに検討したが伸張は見出されなかった。ATBF1遺伝子は染色体16番にマッピングされ、ここに連鎖する神経変性疾患はまだ報告がなく、今後連鎖の報告があればさらに検討をすすめる。
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