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1995 年度 研究成果報告書概要

神経突起再伸展の薬理学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 06454612
研究種目

一般研究(B)

配分区分補助金
研究分野 応用薬理学・医療系薬学
研究機関東京大学

研究代表者

斎藤 洋  東京大学, 薬学部, 教授 (00012625)

研究分担者 西山 信好  東京大学, 薬学部, 助手 (20201692)
研究期間 (年度) 1994 – 1995
キーワードポリアミン / スペルミン / インターロイキン-2 / 培養神経細胞 / 海馬 / インターロイキン-6 / 軸索分岐 / てんかん
研究概要

本研究計画の目的は1)神経突起再伸展および分岐発芽を促す新規活性物質の探索、ならびに、2)神経突起再伸展および分岐発芽促進物質の作用機構の解析であった。まず、平成6年度の研究で、ポリアミン類の培養神経細胞の軸索損傷後の神経突起再生過程に対する作用を検討した。その結果、すべての天然ポリアミンが、成長円錐損傷後の基部からの突起再伸展を強く促進することを見出した。また、培養神経細胞の再生突起の分岐を促進することが示されている塩基性線維芽細胞成長因子とスペルミンを同時添加したところ、損傷部位からの突起再伸展と分岐形成の両者が促進された。以上のことから、軸索の再伸展と分岐形成は独立した機構により調節されていると考えられた。また、平成7年度の研究では同様の実験系を用いサイトカインの一つであるIl-2およびIl-6の作用を検討した。IL-2は損傷を受けた軸索の細胞体近位部での突起分岐数および分岐突起の長さを濃度依存的に増加させた。IL-2は、また、非損傷突起の長さおよび発芽を促進する作用も示した。一方、IL-6は損傷突起および非損傷突起の両者に対して形態的には全く作用を及ぼさなかった。以上の結果より、IL-2とIL-6はともに神経栄養効果を持つにも拘わらず、培養神経細胞の形態に対してはIL-2のみに再生促進作用が認められるものと考えられた。すなわち、IL-2とIL-6の神経細胞に対する作用は、異なった機序で発揮されるものと思われる。IL-2が中枢神経細胞の再生を促したことにより、この物質が神経変性疾患治療に対する新たなツールとなる可能性が浮上し、今後さらに研究が進展することが期待される。さらに最近では、切片培養系を用いて、物理的に神経回路網を切断した後に起こる神経突起再伸展をてんかん様の電気活動が阻害することを見出した。この結果は、早期発症のてんかん患者に見られる記憶障害に実験的根拠を与えるものと考えられた。

  • 研究成果

    (12件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (12件)

  • [文献書誌] 宮川武彦 他: "抗痴呆薬開発のための実験手技(5)" 日本神経精神薬理学雑誌. 14. 299-303 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] P.J.Chu et al: "Polyamines promote regeneration of injured axons of cultured rat hippocampal neurons" Brain Research. 673. 233-241 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 西山信好 他: "ポリアミンの栄養因子作用" クリニカルニューロサイエンス. 13. 822-825 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] M.Saroder et al: "Comparative effects of IL-2 and IL-6 on morphology of cultured hippocampal neurons from fetal rat brain" Brain Research. (印刷中). (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Mokaddez Sarder: "Effects of interleukin-2,3 and 6 on survival and regeneration of central neurons in culture" 東京大学博士論文, 77 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Peng-jiang Chu(〓鵬江): "天然ポリアミンおよび構造類似体の脳神経細胞に対する作用" 東京大学博士論文, 110 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Miyagawa, T.et al.: "Experimental Technique for Development of Anti-dementia Drugs" Jap.J.Psychopharmacol. 14. 299-303 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Chu, P.-J..et al.: "Polyamines promote regeneration of injured axons of cultured rat hippocampus" Brain Res.673. 233-241 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Nishiyama, N., et al.: "Neurotrophic Effect of Polyamines" Clin.Neurosci.13. 822-825 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] M.Sarder, et al.: "Comparative effects of IL-2 and IL-6 on morphology of cultured hippocampal neurons from fetal rat brain" Brain Res.(in press).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Sarder, M.: Effects of interleukin-2,3 and 6 on survival and regeneration of central neurons in culture. Ph.D.Thesis at The University of Tokyo,

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Chu, P.-J.: Effects of Natural and Synthesized Polyamines on brain neurons. Ph.D.Thesis at The University of Tokyo,

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1999-03-09  

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