研究概要 |
1.血小板型については現在、HPA(Human Platelet Antigen)として1-5型が公認されている。 最近新しい血小板型が続々と欧米で報告されているが、フィンランドでR.Kekomakiらにより新生児血小板減少性柴斑病で発見されたTu^a型はフィンランド人では0.7%しか陽性者がいないが、本邦ではその約10倍の7%に陽性者がいることを見い出した。このことはフィンランド人(フィン族)は元来、アジア系と言われていることと関連していると思われる。本邦でTu^a型が7%も存在することは、本邦でもTu^a型が新生児血小板減少性柴斑病および血小板輸血不応答に関与している可能性が推定された。 2.血小板抗体の特異性解明には血小板抗体同定用パネルの確立が必須であったが、今年度の研究でHPAの1-5とNak^a型、上記のTu^a型を含む12パネルが完成した。今後、赤血球抗体の同定検査と同程度の簡便性で血小板抗体の同定が世界で初めて可能になった。マイクロプレートへの血小板の固相にグルタール液を用い、血小板膜の活性化を防止しえたこと、および凍害防止剤としてサッカローズを用いることにより、膜に損傷をきたすことなく固相血小板を凍結保持できるようになったことが同定用血小板12パネルの完成に役立った。 3.輸血暦のある患者3,600人の血清について、血小板抗体をスクリーニング検査し以下の知見を得た。 抗HPA2b抗体が10例(0,25%),抗HPA3a抗体が2例(0,05%)抗HPA4b抗体が3例(0,05%),抗HPA5b抗体が6例(0,15%)このことから輸血を受けた患者では約0,5%に血小板抗体が産生されており、赤血球の温式抗体なみの検出頻度であることが、世界で初めて明らかとなった。 4.今後は妊娠での血小板抗体産生ことに新生児血小板減少性柴斑病との関係を明らかにする予定である。
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