研究課題/領域番号 |
06454617
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 洋一 東京大学, 医学部(病), 教授 (30010474)
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研究分担者 |
高橋 孝喜 冲中記念成人病研究所, 主任研究員 (50171484)
前島 正基 東京大学, 医学部(病), 助手 (10251307)
桑田 昇治 東京大学, 医学部(病), 助手 (00241993)
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キーワード | 血小板型 / 血小板抗体 / 血小板輸血 / 新生児血小板減少性紫斑病 |
研究概要 |
1)血小板型について研究:フィンランドで新生児血小板型不適合症例で発見された新しい血小板型Tu^aが本邦で薬5%(15/314)で陽性者が存在することを確認した。確認の方法として血清学的には我々の開発MPHA法を用いた。血小板型のDNAタイピングにはRPLPを用いた。血清学的ならびにDNAタイピングの結果は完全に一致した。他のヨーロッパ人ではTu^a型の陽性者は殆どいないのにフィンランド人はフィン族でアジア系なので日本人と共通性があると推定された。我々は、つい最近、日本人の分娩経験婦人の献血者に抗Tu^a抗体を検出した。本邦でも約5%もTu^a型の陽性者が存在することから、新生児血小板減少性紫斑病に関与している可能性が示唆された。 2)新生児血小板減少性紫斑病についての研究:本疾患の原因抗体として抗Bak^a抗体はしばしば経験されて来たが、これまで検出出来なかった低力価の抗Bak^a抗体でも重篤な新生児血小板減少性紫斑病が生じることを世界で初めて明らかにした。血小板は活性化を防いで、分離、固相し軽度に固定すれば低力価の抗Bak^a抗体が検出出来るようになった。その後の2症例でも低力価の本抗体による新生児血小板減少性紫斑病を経験している。他の血小板型と異なり、Bak^a型は血小板にしか表現されていないので、血小板の減少性が著しくなり、症状も重篤になると推定される。 3)血小板抗体スクリーニング法の開発に関する研究:血小板輸血の需要は急激に増加している。しかし、繰り返し血小板輸血を実施すると、抗体(抗HLA抗体と抗血小板抗体)が患者に産生され、それ以後の血小板輸血が無効となる。したがって、血小板抗体のスクリーニング法の開発は重要である。我々の開発した血小板膜よりの抽出抗原を用いる方法は大変すぐれ、殆どの抗体を検出しえることが明確になった。
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