研究概要 |
本研究は、食環境の顕著に異なると考えられると漁村と、農山村住民を対象として、血漿中の脂肪酸組成、ビタミンE量、血小板凝集能、活性酸素などの血液性状と、血管エコーによる頚動脈内中膜壁厚および大動脈脈波速度などの動脈硬化指標を調べることによって食生活と血栓症および動脈硬化症発症との関連について検討することを目的としている。 平成8年度は、平成7年度までに終了している漁村および農山村地区住民の血液性状に関わる分析結果、また同時に実施している動脈硬化指標の諸検査および食生活,環境器疾患年齢訂正有病率などの調査結果資料等を用いて多角的且つ総合的な統計・解析を行い、最終的に食生活と血栓症や動脈硬化の進行との関連性を検討を行った。 1.漁村及び農山村地区住民の環境器疾患年齢訂正有病率は、虚血性疾患及び脳血管障害のいずれも漁村が農山村地区住民より顕著に低値を示していた。 2.血漿脂肪酸組織は、漁村住民の不飽和脂肪酸(n-3,n-6いずれも)が顕著に多く、この結果は食生活の違いを反映するものであり、環境器疾患年齢訂正有病率の低値とも関連するものと考えられた。しかし、脂肪酸組成比では、P/S,EPA/AA,S:M:Pなどで両地区間における違いが大きかったが、不飽和脂肪酸のn-6/n-3は殆ど等しい結果を示しており、今後、更に脂肪酸の生理生活の差などの検討が必要と考えられた。 3.血漿中のビタミンE量は両地区住民に差は認めれず、不飽和脂肪酸の過剰摂取傾向と考えられる漁村住民における抗酸化性ビタミンEの消費などの傾向は無いものと思われた。
|