平成6年度は、加齢による筋力低下に対する運動がどのような結果をもたらすかを知ることと、年齢以外に筋力に影響を与える因子はどのようなものがあるか、特に身体組成との関連を中心に調べることを目的とした測定・調査を行った。対象は、28〜84歳の男女で、日常よく運動をしている者である。測定内容は上肢・下の節力と身長・体重などの形態に関するものでその他運動量や関節の痛みなどに関する質問紙調査を行った。下肢筋力は、脚伸展パワーと等速性筋力測定器による膝伸展・屈曲力を、上肢筋力は両腕をかく動作の最大筋力で測定した。 脚伸展パワーの平均は、50歳以下で男性26.4、女性16.1ワット、50歳以上で男性17.2、女性12.8ワットであり、年齢とともに低下していた。しかしどの年代でも他で報告されている同年代の値に比べて高く、継続して運動することによって、中高年になっても筋力を維持・増強することができる可能性が示唆された。膝や上肢の筋力も年齢が高くなるほど低下する傾向がみられた。また測定方法によって若干結果が異なり、測定動作への慣れを必要とする方法では、正確に筋力を評価することができないと考えられる。 筋力と体脂肪率や体格指数、ウエスト/ヒップ比などとの関係は明らかではなく、これらの因子を単独で筋力と関連づけることは困難であったが、因子をいくつか組み合わせることによって、筋力を含めた身体特性をより正確に判断することができるであろう。筋力と身体組成との関係をみる際には年齢の介在が大きいと考えられるため、年齢と身体組成との関係についての検討も必要である。
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