中・高年者の筋出力特性を知り、安全かつ効果的なトレーニングを処方する手がかりを得ることを目的として、以下の研究を行った。 水泳愛好者中高年者104名(男性62名:12〜69才、平均34.1才;女性42名:12〜64才、平均42.0才)を対象にあらかじめ測定内容を十分説明し、同意書を得、メディカルチェックを行った後、膝関節伸展、屈曲力の測定をサイベックス6000を用いて行った。 測定項目は、60度/秒、180度/秒の2種の角速度について 1)ピークトルクの最大値 2)ピークトルクを体重で除した値 3)仕事の最大値 4)仕事量を時間で除した平均パワーの最大値 の4項目とした。 各項目は、左右間でt検査を行ったところ有意差がないことが確認されたので、右脚のデータのみを性別、年代別に解析した(有意水準は1%)。 その結果、男女とも年齢と共に筋力が低下する傾向がみられたが、個人差が大きいこと、膝屈曲筋力に比べて膝伸展筋力の加令による変化が大きいことが示された。 中高年者の筋力トレーニングの処方にあたっては、個人差を重視した上で、日常生活動作レベルの保持、関節障害・転倒事故の予防、QOL(人生の質)の向上のために、膝伸展筋力の強化を図ることが必要と考えられた。
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