研究概要 |
日本列島の環境保全林形成は1972年から行われた。各地における潜在自然植生高木種の根が発達した幼苗を1〜3本/m^2密植し,種数も5〜10種混植したものである。本年は一般研究(B)の初年度で,1.横浜国立大学キャンパス内の環境保全林にマルチ機能環境測定機器を設置,2.日本各地の植栽地の代表例の生長調査を行った。 1.横浜国立大学キャンパス内の20年生の環境保全林,芝地にマルチ機能環境測定機器を設置したが,環境保全林に生息する野性タヌキにケーブルを切断されるハプニングが起きた。修理に時間がかかり,その後水道用のビニールパイプを通し,きわめて短期間の成果を得た。1カ月間の測定だが,すでに芝地と環境保全林形成地の環境動態の比較結果が得られた。次年度は,新しく湿度,土壌水分測定を追加して測定を続けることにより,立地環境動態,植生機能動態の1年間の解析が期待できる。 2.現地調査では,大分県(10年生),広島県(8年生),岡山県(6年生),愛媛県(20年生)の植栽地が調査された。大分県では10年生8mの樹高のアラカシで5.1mに生長した根系が調査された。すでにベニシダ,オオイタチシダなどの羊歯植物が植栽地内に生育している。林冠に空間がある林分では,林床の植物が多いが,4m以上に生育した植栽地は,まさに常緑広葉樹林若齢林で,貧弱な林床を示している。しかし,斜面,急傾斜のり面では生育良好で,林床の土壌崩壊もない。
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