研究概要 |
Na^+,K^+-ATPaseをphosphatase基質[^<32>P]Paranitorophenylphosphate(pNPP)Mg^<2+>とNa^+の存在下でリン酸化すると定常状態で[^<32>P]ATPでリン酸化されるほぼ倍量のEPが形成された。このEPはcold pNPP chaseで消失した。[^<32>P]ATPから形成したE_1PにPNPを添加し合成される[^<32>P]pNPP量を測定した結果、ほとんど全てのE_1PがADP感受性を示すにもかかわらず、PNPに対する感受性はE_1Pの50%であった。SDS処理で得られた高純度のNa^+,K^+-ATPase標品、又DOC-NaI処理標品を用いouabainの結合量、CDTA存在下でのATPの結合量及びATPからのEP形成量を比較した結果、その比は約1:0.75:0.5となり、E_1PのPNP感受性も考慮するとNa^+,K^+-ATPaseの膜中での機能単位は(αβ)_2よりさらに高度のオリゴマーである可能性が高い。H^+,K^+-ATPaseをacetylphosphate(AcP)でリン酸化すると飽和ATP濃度で得られるEP量の約倍の値を示す。この量はPiからのEP量、CDTA存在下のATP結合量とも一致する。ATPによるリン酸化でTrp蛍光は増加し、BIPM蛍光は減少する。AcPによるリン酸化で約2倍量のEPが形成される状態でTrpの蛍光、BIPM蛍光の程度は共にATPによるEP蓄積時の約半分に減少した。これらの結果はE:EからのEP:Eの形成に比べEP:EPの形成により、Trp残基とCys-241に結合したBIPM probeの微少環境がそれぞれ親水的及び疎水的に変化していることを示唆する。
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