研究概要 |
1.種子の発芽時に他の植物の成長を促進する物質(アレロパシー物質)が分泌されるという生物機能の植物界における普遍性について、13科22属の植物種子を用いて、ヒモゲイトウ下胚軸伸長試験で調べた結果、全ての植物に共通した生物機能であることが判明した。 2.クレス種子の分泌液から、アレロパシー物質として単離・同定した新規・二糖類のレピジモイドの植物界における分布について、機器分析と生物検定を用いて調べた結果、レピジモイドが全ての植物の種子分泌液中に検出できた。ヒマワリ、ソバで種子一粒当たり10μg以上、トウモロコシ、エンバク、ミツバ、パセリ、クレスなど10種類の植物の種子分泌液で1〜10μg、チモシー、アスパラガスなど6種類で0.1〜1μg、イネ、レタスなど5種類の植物で0.1μg以下のレピジモイドが検出された。 3.レピジモイドのアナログを合成し、構造活性相関を調べた結果、クレスから単離したレピジモイドはNa塩であったが、カルボン酸でも同様な活性を有したことから、Naは活性発現に必須でないことがわかった。ウロン酸部分のC-4,5位の二重結合が活性発現に重要であることも明らかになった。また、ラムノースとウロン酸から成る二糖(αグルコシド結合)が活性を有し、ラムノース、ウロン酸は単独及び混合して与えた場合、活性を示さないこともわかった。 4.レピジモイド活性発現のメカニズムに関する研究は現在、進行中である。
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