研究概要 |
ショウジョウバエの形態形成に関わるfushi tarazu遺伝子のエンハンサーに塩基配列特異的に結合する因子FTZ-F1は、MBF1,MBF2という2つのメディエーターを介して基本転写因子と複合体を形成し、fushi tarazu遺伝子の転写を活性化する。本研究の目的は、メディエーターのcDNAをクローニングしてその構造と機能を調べることにより、転写制御因子のシグナルがメディエーターを介して基本転写因子に伝わる機能を解明することにある。本年度は、まず精製したMBF1とMBF2をトリプシンやV8プロテアーゼで部分分解して得たペプチドのアミノ酸配列を決定した。次に、その情報に基ずいて調製したプライマーを用いてPCRを行った。アミノ酸配列から予想される塩基配列をもつPCR産物をプローブに用い、cDNAライブラリーをスクリーニングしてMBF1とMBF2のcDNAをクローニングした。MBF1のcDNAは分離されたばかりでまだ解析が進んでいないが、MBF2cDNAの塩基配列を解析したところ、この因子は既知のタンパクとはホモロジーをもたない、新しい因子であることが判明した。cDNAを大腸菌で強制発現して得たrecombinant MBF2は転写活性化能をもっていたので、基本転写因子との相互作用を調べたところ、TFIIAと結合することが明かとなった。今後、MBF1cDNAについても構造解析を進めると共に、大腸菌で強制発現したrecombinantタンパクを用いてTATAボックス結合因子との相互作用を調べる予定である。
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