研究課題/領域番号 |
06454675
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鮎沢 大 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (00142109)
|
研究分担者 |
井手 利憲 広島大学, 医学部, 教授 (60012746)
大石 道夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (00126004)
|
キーワード | 細胞老化遺伝子 / 不死化細胞 / 7番染色体 / D群不死化細胞株 / cGMP-依存プロテインキナーゼ / シグナル伝達系 |
研究概要 |
哺乳動物体細胞の分裂寿命は有限であり、それは細胞老化遺伝子によって規定されている。この遺伝子が欠損すると、細胞は無限増殖能を獲得し、不死化細胞に変身する。ヒト不死化細胞株(殆ど癌細胞由来)間の相補性試験を行い、今までに少なくとも4個(A〜D)の相補性群が見いだされている。我々は微小核細胞融合法を用いた単一染色体移入を行い、7番染色体がD群不死化細胞株(不死化細胞株の約4割を占める)の分裂停止を特異的に誘導することを示している。本年度の計画にしたがって、ヒト7番染色体断片を2-3Mb含むマウスA9放射線雑種細胞パネルを作成し、単一染色体移入を行って分裂停止を誘導するクローンを5個選別した。そのクローンからAluPCR法によってヒトDNAを回収し、それをプローブに用いてFISH解析を行ったところ、D群不死化細胞株特異的な細胞老化遺伝子は7番染色体上の0.5または1.0MbのDNA断片(染色体座はそれぞれ7p22および7p32-33)に位置することが示された。したがって、目的遺伝子を含むYACクローンが単離できる体制が整った。この遺伝子は、状況証拠から生殖細胞と体細胞の発生上の分岐に重要な働きをする、と考えられる。現在、4番染色体上に位置するB群特異的細胞老化遺伝子のクローン化が米国のSmith夫妻のグループによって精力的に行われており、我々と先陣争いをしている。 他方、我々は、cGMP-依存プロテインキナーゼの阻害剤が、細胞老化の誘導を特異的に阻止することを見いだした。この発見は、細胞老化の誘導にシグナル伝達系が関与することを初めて示すものであり、細胞老化の研究の突破口になろう。
|