研究課題/領域番号 |
06454677
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
米田 悦啓 大阪大学, 医学部, 教授 (80191667)
|
研究分担者 |
平林 朋子 大阪大学, 医学部, 助手 (10218810)
今本 尚子 大阪大学, 医学部, 助手 (20202145)
|
キーワード | 核膜孔ターゲティング複合体 / 核蛋白質輸送 / 核局在化シグナル / 核膜孔 / セミインタクト細胞 |
研究概要 |
本研究では、培養細胞をジギトニンで処理したセミインタクト細胞を用いたin vitro核蛋白質輸送系を利用して、核蛋白質輸送に必要な因子の同定ならびに機能解析を行ってきた。本年度は、昨年度、本研究において明らかにした、核膜孔ターゲティング複合体(nuclear pore-targeting complex;PTAC)を構成する因子の解析を進め、以下のような成果を得た。 (1)PTACを構成する2つの必須因子は、遺伝子クローニングの結果、分子量がそれぞれ58kDa,97kDaであることがわかり、PTAC58ならびにPTAC97と名付けた。得られた遺伝子を大腸菌で発現させて得られるレコンビナント蛋白質を用いて、両方の蛋白質が存在してはじめて効率よく核蛋白質輸送が起こることが、in vitro系を利用して確認された。 (2)PTAC58は、既に別の研究で得られている、酵母のSRP1やヒトのRch1などと相同性の高い蛋白質で、Arm motifと呼ばれる特徴的な繰り返し配列を持つ。また、核局在化シグナルとの結合実験から、PTAC58が核局在化シグナルを特異的に認識する分子であることがわかり、PTAC58に対する抗体を培養細胞にインジェクションした結果、PTAC58そのものも核蛋白質と挙動を共にして核内に移行することが明らかとなった。 (3)PTAC97は、未知の蛋白質であると思われ、おそらく1:1の比率でPTAC58に結合し、核蛋白質とは直接結合しない。また、PTAC58とPTAC97が結合しただけでは、核膜孔にターゲットできず、核蛋白質を含む3者複合体を形成してはじめて核膜孔にまで到達できることが明らかとなった。 以上のように、核蛋白質を細胞質から核膜孔にまで運ぶために働く必須因子とその性状が明らかとなり、核蛋白質輸送の分子メカニズム解明に向けて大きく進展した。
|