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1994 年度 実績報告書

リソソーム形成における膜識別と融合に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 06454678
研究機関九州大学

研究代表者

姫野 勝  九州大学, 薬学部, 教授 (50037602)

研究分担者 石川 豊子  九州大学, 薬学部, 助手 (50201314)
田中 嘉孝  九州大学, 薬学部, 助手 (20217095)
キーワードリソソーム / エンドソーム / ソーティング・シグナル
研究概要

リソソーム膜蛋白質のリソソームへの局在化機構に関する研究は、リソソーム膜の主たる構成成分であるlgp-Aグループに属す蛋白質を中心に行われ、その細胞質領域に含まれるGly-Tyr配列(GY-motif)がリソソーム局在化に必要かつ十分なシグナルであることが報告されている。今回は、lgp-Bグループに属するラット肝リソソーム膜の主要構成成分の一つであるLGP96についてリソソーム局在化シグナルの詳細な検討を行った。10個のアミノ酸から成る細胞質領域(-KRHHTGYEQF)に様々な変異を導入したLGP96のcDNAをCOS細胞に一過性に発現させその細胞内分布を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。その結果、1)C末端から8アミノ酸を欠失させた変異体は大部分が細胞膜に存在した。2)GY-motifのG→A変異体は野生型と同様のリソソーム様の分布を示したが、Y→A変異体は細胞膜に分布した。3)さらに、C末端のF→AおよびF→T変異体は一部細胞内にも存在するもののかなりの量が細胞膜に分布した。これらの結果より、LGP96がリソソーム様顆粒に局在化するためにはその細胞質領域のGY-motifに加え、C末端のFも効率良い局在化に必要であることが明らかとなった。次にリソソーム様顆粒の正体を明らかにする目的で、Percoll密度勾配遠心法による細胞分画を行ったところ、その大部分がリソソーム画分ではなく、より密度の小さなエンドソーム画分に存在することが明らかとなった。また電子顕微鏡でもこのことを確認した。以上の結果より、リソソーム膜蛋白質LGP96は、後期エンドソームがリソソームへ変換する際に起こるエンドソーム間、あるいはエンドソーム-リソソーム間の融合に必要な蛋白質として関与している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Y.Konishi: "Insulin-like growth factor II promotse in vitro cholinergic development of mouse septal neurons:comparison with the effects of insulin-like growth factor I." Brain Research. 649. 53-61 (1994)

  • [文献書誌] K.Goto: "Localization of cathepsin B,D,and L in the rat osteoclast by immuno-light and-electron microscopy." Histochemistry. 101. 33-40 (1994)

  • [文献書誌] T.Kiyoshima: "Immunocytochemical localization of cathepsin L in the synovial lining cells of the rat temporomandibular joint." Archs oral Biol.39. 1049-1056 (1994)

  • [文献書誌] Y.Nakayama: "Microtubule Reorganization and Lysosome Redistribution by a Viral v-src Oncogene,in MouseBalb/3T3 Cells Expressing Human EGF Receptor." Cell Struct.Funct.19. 397-409 (1994)

  • [文献書誌] 姫野 勝: "リソソーム膜タンパク質の一次構造とターゲッティングシグナル." 生化学. 66. 1203-1218 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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